前回はアコースティックギターの各部名称をご紹介してきましたが、今回はエレキギターの各部名称をご紹介していきます。
おおまかな名称は、アコースティックギターと同様になりますが、エレキギターはモデルによってパーツも異なります。
今回は王道のストラトキャスターとレスポールで各パーツの名称・役割をご紹介していきます。
※他のモデルでは一部パーツが異なる場合もありますが、全体の名称や一般的なパーツは役割が同様となりますので、覚えておくと役立つと思います。
ヘッド
ギターの上部を【ヘッド】と呼びます。
ヘッド側と記載されている場合は、ギターを構えた時の左側を指します。
たいていのブランドは、ヘッドの表側にブランドロゴが入っているため、ブランドを知りたいときはヘッドを見るとわかります。
ブランドによってヘッド形状も異なり、角度によって弦のテンションも変わるなど、チューニングの安定性などにも影響する部分になります。
ペグ
弦を巻き付ける金属のパーツ。
ペグの裏にはギアがあり、ギアが細かいほどチューニングの精度が高くなります。
“ギア比”といって、【1:15】や【1:18】などがあります。
右側の数字がギアを1周させるために必要な回転数になり、数字が大きいほど精度が高くなります。
ストラトタイプを6連タイプ、レスポールタイプを3:3タイプと呼びます。
ペグボタン
ペグを回すツマミ部分を【ボタン】と言います。
ボタンの形状も様々あり、ペグを購入する際はボタンの形状や素材を選択することが出来るブランドもあります。
ナット
弦を支える部分で、プラスティックや牛骨、人口象牙のTUSQやブラスなどがあります。
材質によって音質の違いがあります。
交換の際は、指板のRに合わせて購入していただくか加工が必要になります。
ストリングガイド / リテーナー
弦を上から抑えてテンションを保つことで、弦の共振やナットから弦が外れることを防ぐパーツです。
【リテーナー】とも呼びます。
ネック角度のないギターに取り付けられているため、一般的にレスポールなどのヘッドに角度があるタイプには搭載されていません。
トラスロッドカバー
ネック調整をするトラスロッドを隠すためのカバー(蓋)になります。
一般的にはプラスティック製の物が多く、印刷や刻印がされている物があります。
【アジャストカバー】や【ロッドカバー】とも呼びます。
ネック
左手で握る全体を【ネック】と呼びます。
幅や形状も様々あり、ネック裏の形状の事をシェイプと言い”Cシェイプ””Vシェイプ””Uシェイプ”などがあります。
幅やシェイプは、弾きやすさにも繋がります。
材質によって剛性も異なり、反りやすい材質などもあります。
ネックが反ること自体は問題ではないのですが、製造段階でしっかり乾燥されていない物は、ねじれなどが出る場合があります。
ねじれなどは真っ直ぐに戻すことが難しいので、ギター購入時は確認する必要があります。
指板 / フィンガーボード
指で触れる部分の木材を【指板】や【フィンガーボード】と呼びます。
材質はローズウッドやメイプル、エボニーが一般的ですが、近年ではエボニーに似せたリッチライトという材質も主流になってきました。
材質によって音質も異なります。
ポジションマーク
指板と指板サイドにあるマークで演奏する際の目印になります。
ドットや四角いブロックなど形状も様々です。
マークの位置は【3・5・7・9・12・15・17・19・21フレット】と規則性があり、ほとんどのギターはこの一部か全てにマークが付いています。
フレット
指板の上にある金属の棒の部分を差します。
このフレットがあることで音を段階的に変化させる事ができます。
フレットにも形状があり、幅や高さが異なります。
形状によって音質も変化し、弾きやすさにも影響します。
ボディ
右手で抱えこむ部分の全体を【ボディ】と呼びます。
形状や木材も様々あり、一番音質に影響しやすい部分といえます。
ボディの前面を【ボディトップ】
裏面を【ボディバック】
横の面を【ボディサイド】と呼びます。
ピックガード
ピック弾きした際にボディが傷付くのを保護するために張り付けられているプレートになります。
ストラトタイプはボディ保護のほかに、ピックアップやコントロール類を固定するための役割を担っています。
レスポールタイプは、ブランドによって付いていないモデルや付属品として自身で取り付けるモデルもあります。
ピックアップ
弦の振動を拾うマイクのことを【ピックアップ】と呼びます。
ストラトモデルは、基本的にシングルタイプが3つ搭載されています。
ネック側から、【フロントピックアップ】【センターピックアップ】【リアピックアップ】となります。
レスポールタイプでは、【ハムバッカー】と呼ばれるタイプが搭載されており、シングルピックアップが2個並列したような見た目となっています。
エスカッション
ハムバッカーの淵に装着されているプラスティック。
ハムバッカーは、このエスカッションに取り付けられています。
割れる事も多く、パーツ販売もされています。
ピックアップセレクター / トグルスイッチ / セレクタースイッチ
ピックアップの切り替えを行うスイッチのことを【ピックアップセレクター】と呼びます。
レスポールは3wayといって3パターンに切り替えることが出来ますが、ストラトは5wayなどが一般的です。
ストラトのスイッチは、ネック側に倒すとフロントピックアップ、真ん中でセンターピックアップ、ブリッジ側にするとリアピックアップになります。
ネック側と真ん中の間にすると、フロントとセンターのミックスになり、真ん中とブリッジ側の間にするとセンターとリアのミックスになります。
レスポールのトグルスイッチは、RHYTHM(上側)に傾けるとフロントピックアップ、TREBLE(下側)に傾けるとリアピックアップが有効になります。
センター位置にすると、フロントとリアの両方が出力されます。
コントロールノブ -ストラト編-
マスターボリューム
ストラトはボリュームが1個となっており、すべてのピックアップと共通しています。
フロントピックアップトーン
フロントピックアップのトーン調整ができ、絞ることでコモッたサウンドになります。
センターピックアップトーン
センターピックアップのトーン調整。
一般的にはリアピックアップのトーンがありません。
但し、近年では…
フロントピックアップトーンコントロール ⇒ フロントピックアップ&センターピックアップのトーン
センターピックアップトーンコントロール ⇒ リアピックアップのトーン
のように変更となっているモデルも増えてきています。
モダンなモデルにはこちらが採用されている印象です。
コントロールノブ -レスポール編-
レスポールは、フロントピックアップ・フロントトーン・リアピックアップ・リアトーンがそれぞれ個別に搭載されています。
トグルスイッチをセンター位置にすると、フロントとリアのミックスになります。
この時にどちらかのボリュームを”0″にすると音が出なくなります。
ブリッジ
弦を支えている部分を総称して【ブリッジ】と呼びます。
ストラトのブリッジは…【シンクロナイズドトレモロブリッジ】という名称で、レスポールは【チューンオーマチック】と言います。
サドル
弦の支点となる駒を【サドル】と呼びます。
弦の振動をボディに伝える役割があります。
弦の高さを調整したり、オクターブチューニングをする際にこの駒を調整します。
アーム
ストラトのシンクロナイズドトレモロなどに搭載されている棒のことを【アーム】や【トレモロアーム】と呼びます。
棒を上げたり下げたりすることで弦の張力を変え、音程を変化させます。
アウトプットジャック
アンプなどに接続するためのシールドを挿し込むジャック部分になります。
この部分に錆や汚れが付いてしまうとガリ音が出てしまいます。
ストラップピン
ストラップを引っ掛けるパーツで、後付けでストラップと一体型にすることで脱落防止となる”ロックピンタイプ”もあります。
ネックジョイント
ネックとボディの接合部分を【ネックヒール】や【ネックジョイント】と言います。
ストラトタイプは、【ボルトオンタイプ】となっており、レスポールは一般的には【セットネック】のモデルが多いです。レスポールでも安価なモデルでは、ボルトオンタイプがあります。
また、【スルーネック】といって、ネックとボディ中央部を1本の長い材料から一体で削り出して作る方式があります。センター部分を加工した後、両サイドにボディとなる部分を接着していきます。
ジョイントプレート
ボルトオンタイプのネックとボディの接続部分に使用される金属のパーツ(プレート)です。
ボディとネジの間にプレートを挟むことで、ボディにかかる力を分散させます。
プレートの素材や重さによってサウンドが変わるので、リプレイスパーツも多く販売されています。
スイッチバックパネル
トグルスイッチの裏側に組み付けられているプレートで、プレートを外すとトグルスイッチの裏側にアクセスすることができます。
一般的にはプラスティックですが、モデルによっては金属のプレートを採用しています。
バックプレート
ボディ裏に取り付けられている蓋です。
ストラトタイプは、シンクロナイズドトレモロの裏側にアクセスすることができ、スプリングの調整などができます。
レスポールタイプは、ボリューム・トーンコントロールノブにアクセスすることができるため、コントロールノブの修理や交換時にこちらの蓋を開けて作業をします。
カッタウェイ
ボディのネック付近からえぐるようにカットした部分のことを【カッタウェイ】と呼びます。
カッタウェイがあることで、ハイポジションが弾きやすくなります。
両側の場合はダブルカッタウェイ、片方の場合はシングルカッタウェイと呼びます。
トラスロッド
ネックには反りを調整できる【トラスロッド】という棒が仕込まれています。
レスポールはヘッドにあるカバーを外すと六角レンチで調整できるナットがあります。
ストラトタイプは、ヘッドに穴が開いており簡単にアクセスできるタイプと、一度ネックを外す必要があるタイプがあります。
後者は少々手間ではありますが、慣れると簡単に調整が出来ます。
まとめ
全体の名称を紹介してきましたが、名称にはいくつか呼び名があります。
全て覚える必要はありませんが、各部の役割などを覚えておくとメンテナンスやカスタムに役立ちます。
またギターを購入する際も、名称を覚えておくとスムーズに選びやすいかと思います。
名称などを忘れてしまった時は、こちらのページを参考にしてもらえればと思います。