エフェクターの種類と選び方

エレキギターに関わらずアコースティックギターやベースなどでも使用されるエフェクターですが、今回は【エフェクター】についてと、”エフェクターの種類”について紹介していきます。

初心者の方は「エフェクターって何を選べばいいの?」という方も多いと思います。

今回はモデルの紹介ではなく、まずエフェクターというモノを知っていただくための紹介になりますので、はじめてエフェクターを購入する際の参考にしていただければと思います。

エフェクターってなに?

【エフェクター】とは、ギターやベースなどのサウンドをアンプから出す際に『サウンドに何かしらの効果を加えるための機器』のことを指します。

また、ギターから出た電気信号に効果を加える機能や効果のことを【エフェクト】と呼びます。

エフェクターには、エレキギター用・アコギ用・ベース用・ボーカル用など、それぞれの楽器専用のエフェクターがあります。
基本的にはそれぞれの楽器専用のエフェクターを使用しますが、稀にエレキでもベースでも使用可能な汎用モデルもあります。
基本的には、エレキ用であればエレキで使用する帯域に対しての設計になっているので、専用のモデルを使用する方が無難ですが、あえてベースでエレキ用のエフェクターを使用する方もいます。

エフェクターの種類

【エフェクター】という機器にも様々な種類が存在します。

ここでは大まかな種類を簡単に説明していきます。

歪み系

ロックはもちろん様々な音楽ジャンルで多様されるサウンドが歪み(ひずみ)系サウンドになります。
エレキギターには欠かせないサウンドで大半のエレキギターアンプにも搭載されています。

元々は1940年代に真空管アンプのボリュームを上げると音が歪む(音が割れる)という現象を発見したことがきっかけとなり、ブルースなどのジャンルで取り入れられるようになりました。
但し、相当ボリュームを上げないと歪まなかったため、かなり大きな音量だったようです。

歪み系といってもいくつかの種類が存在します。

オーバードライブ / Overdrive

元のクリーンサウンドを歪ませたチューブアンプのウォームなサウンドを指します。
【クランチ】と呼ばれる音質もオーバードライブの一種で、弱めの歪みサウンドを指します。

エフェクターの中でもモデル数が多く、エフェクターブランドの大半がオーバードライブを販売している程、ド定番のエフェクターになります。

基本的には歪ませるためのエフェクターとなりますが、【ブースター】としても使用できます。
【ブースター】とは…電気信号を増幅させるためのもので、歪みを増やしたり音量を上げる役割があります。
ギターソロの時に使用することも多い機能です。

ディストーション / Distortion

オーバードライブよりもさらに歪ませたサウンドが【ディストーション】です。
歪みの粒もオーバードライブより細かく、より深い歪みを得ることが出来ます。
ハードロックやメタル、ラウド系のサウンドに適しています。

オーバードライブ同様エフェクターの中でもモデル数が多く、歪み系といえばオーバードライブorディストーションと言えるほどド定番のエフェクターになります。

ファズ / Fuzz

オーバードライブやディストーションよりも荒々しい強烈な歪みが【ファズ】になります。
歪みの粒が潰れたようなサウンドが特徴的で、モデルによっては原音がわからないほど歪ませることができます。

歪み系エフェクターとしては、オーバードライブやエフェクターよりも前に登場したエフェクターになりますが、歪みが過激ということもあり、オーバードライブやディストーションの方が歪み系エフェクターの定番となっています。

空間系

サウンドに広がりや反響、立体感などをもたらす効果を付加するものが【空間系エフェクター】になります。

わかりやすい例えでは、お風呂やトンネルなどの反響や、山びこなどの繰り返される効果が空間系エフェクターの役割になります。
カラオケでも搭載されているので、馴染みのある効果かと思います。

歪み系と同様にとても重要なエフェクターで、ギターに限らずレコーディングなどでも全体のサウンドに効果をもたらすエフェクトになります。

リバーブ /Reverb

音を反響させることで広がりを生み出す効果があります。

エフェクターが搭載されていないアンプにも、リバーブだけは搭載されているモデルも多いです。

ホールリバーブやルームリバーブは、名前の通りホールなどの会場での響き方を再現しています。
スプリングリバーブは、実際にギターアンプなどに用いられているスプリング(バネ)を用いたリバーブ方式で、独特なサウンドを生み出してくれます。

ディレイ /Delay

一定の時間、音を遅らせることで山びこのような繰り返し音を発生させる効果です。

繰り返し音の速さを変更したり、深さを変更することで様々なディレイサウンドを作ることができます。

【エコー】もディレイの一種と捉えられることが多いです。
厳密には異なる効果ですが、似ていることからディレイと一括りにされることがあります。
簡単に言うと、エコーは自然に発生する音の反響のことで、ディレイは人為的に作られる音の反響になります。

モジュレーション系

原音に対して音量や音程などのタイミングをズラすことで『揺れ』を作り出すエフェクターになります。

独特なサウンドを生み出すことも出来るので、曲のアクセントとして使用することもできます。

コーラス / Chorus

原音にコピーしたサウンドを微妙にズラして混ぜることで、揺らぎや広がりを生み出す効果があります。

クリーンサウンドと相性が良く、バラードなどのアルペジオに用いることが多いエフェクターです。
エフェクターによっては、揺らし方も多彩なものがあり、深くウネるような幻想的なサウンドも作ることが出来ます。

フェイザー / Phaser

位相のズレたサウンドを原音に加えることでうねり効果を生み出すエフェクターになります。

シュワシュワしたクセの強い特殊効果音になるので、エレキギターで使用することが多く、カッティングなどでも効果を発揮するエフェクターになります。

フランジャー / Flanger

モジュレーションの中でも激しい揺れを可能にするフランジャーは、強烈なうねりを可能にするエフェクターになります。
「ジェットサウンド」と呼ばれるジェット機のような強烈に揺れるサウンドを生み出すことも可能で、これは80年代や90年代に使用しているアーティストが多く効果音的に使用することができます。

フランジャーとフェイザーは揺らすということで似ているような印象を受けますが、双方は仕組みが異なります。

「フェイザーが位相のずれを利用する」のに対して、「フランジャーは原音の遅延を利用する」という仕組みになります。

トレモロ / Tremolo

音量を周期的に上下させるエフェクターのことです。

60年代くらいまでの真空管アンプではほとんどビブラートと呼ばれるトレモロユニットが内蔵されていて、サーフミュージックやグループサウンズなどに欠かせないものになっていました。

リズムの動きがオシレーターのように「サイン波」「三角波」「矩形波」があり、選ぶ波形によって音の質感が変わってきます。
ステレオ出力で左右に音を飛ばしたり、強く掛けるとマシンガンのようなサウンドを生み出すことができます。

フィルター系

その音の周波数全体の中で、一定の帯域をカット、ブーストしてサウンドを変化させるのが、フィルターです。

イコライザー / Equalizer

音に含まれる周波数バランスをコントロールするエフェクターです。

周波数とは1秒間に繰り返す振動数を表す言葉で、周波数が高いほど音程が高く、周波数が低いほど音程が低くなります。

イコライザーには「グラフィックイコライザー」「パラメトリックイコライザー」の2種類があります。
グラフィックイコライザー:特定の帯域に分けられたコントロールをブースト/カットすることができます。
視覚的にもわかりやすいコントロールになっています。
パラメトリックイコライザー:周波数帯域をコントロールするのではなく、周波数のポイントを選んで細かくブースト・カットできます。
また、増減の幅(Q)・大きさ(ゲイン)をコントロールできます。

ワウ / Wah

ペダルの踏み込み具合で周波数帯域を変化させることができます。

フィルターのカットオフ周波数が変化することで音色に変化を与え、ペダルを踏み込むと高域が調教され、ペダルを上げると中域が強調されコモッた音になります。

ペダルを動かすことで「ワウワウ」と聞こえることからワウという名称が付けられています。

設定したスピードと帯域で自動で変化するオートワウというエフェクターもあります。

ゲート / Gate

音質そのものに影響を与えるようなエフェクターではなく、ノイズをカットする役割になります。
歪み系のエフェクターを使用する際、「ジー」っといったノイズが発生しています。
そのノイズを取り除いてくれます。

ダイナミクス系

エフェクターの中ではわかりにくい部類となりますが、音の強弱に関わるエフェクターになり、全体的なバランスを作るために必要なエフェクターになります。

初心者の方には少々わかりにくいと思いますが、エフェクターを揃えていく中で物足りない部分を補ってくれる大事なエフェクターになります。

コンプレッサー / Compressor

音のバランスを調整してくれるエフェクターになります。
ボリュームが小さい音は大きくし、ボリュームが大きい音は小さくしてくれます。
これにより音量のバラつきを抑え均一な聞きやすいサウンドにしてくれます。

粒立ちが揃うので、カッティング時に掛けても気持ちいサウンドになります。
正直変化が大きいエフェクターではないので、面白味に欠けますが、奥が深く使ってみると手放せなくなる重要なエフェクターになります。

特にベースでは必需品となっている方が多いです。

リミッター / Limiter

コンプレッサーと似た部類になりますが、コンプレッサーのようにエンベロープは調整できず、ピークを抑えることに特化しています。

ハーモニー系

ハーモニーという名称通り、原音に音階の違う音を追加するエフェクターになります。

和音にすることで音に厚みを持たせたり、壮大なサウンドにすることができるエフェクターになります。

オクターバー / Octaver

原音に対してオクターブ違いの音を加えることができるエフェクターです。

オクターブの上下しか作ることしかできませんがサウンドに厚みを持たせることができます。

ユニゾンしているよなサウンドを生み出すことができ、且つシンプルな操作性という事もあり扱いやすいエフェクターです。

飛び道具的に使われる事も多いエフェクターになります。

ピッチシフター / Pitch Sifter

ピッチシフターは音程を自由に変えることができます

原音に対してハーモニーを作り出したり、ピッチを変えたエフェクトサウンドだけを出力して、瞬時に半音下げで弾いたりすることもできます。

カポタストを使わずに転調が出来るという優れたエフェクターです。

コンパクトエフェクター / マルチエフェクター

エフェクターには一つのサウンドが搭載されたモデル複数のサウンドが搭載されたモデルの2種類のタイプがあります。

コンパクトエフェクター

基本的に一つのサウンドが搭載されたペダルを【コンパクトエフェクター】と呼びます。

一つのサウンドでも、ブランドによって音質の特徴や扱いやすさなどが異なります。
ブランドも数種類あり、近年では増加傾向にあるため選択肢も豊富で自分好みのサウンドを探す楽しみもあります。

一つのサウンドに特化していることで操作性もわかりやすく、直感的に調整できるペダルが多いため、初心者の方でも扱いやすいのでオススメです。

但し、いろんなタイプのエフェクターを揃えようと思うとお金が掛かります。

そして、数が増えればスペースの問題や持ち運ぶ際の重量が増えるため、スタジオ練習やライブの時は数を制限しなければいけなくなる場合もあります。

マルチエフェクター

マルチエフェクターとは、一つのエフェクターの中に数10種類~数100種類のエフェクターが内蔵されたタイプになります。

マルチエフェクター1つでほぼ網羅できるので、いろんなサウンドを試したい!という方には手っ取り早く金額的にもコンパクトを集めるよりも低価格で済む場合があります。

いろんなサウンドを知ることも出来るので、初心者の方にもオススメです。

マルチエフェクターも様々なブランドから販売されており、ブランドによってサウンドの特色があり、扱いやすさも異なります。

たくさんの機能が備わっているモデルは、様々なサウンドメイクに対応できますが、機能がありすぎて扱いづらいと感じてしまう方もいますので、そういう方はなるべくシンプルなモデルを選択する方が良いと思います。

まず、マルチエフェクターでサウンドについて勉強し、自分の好みなどもわかってきてから、コンパクトエフェクターを購入するという流れもオススメです。

高機能なマルチエフェクターを買ったけど、結局使い方がわからなくて使わなくなった…
という方も多かったのでシンプルなモデルがオススメです。

まとめ

今回はエフェクターの種類について紹介してきましたが、年々ブランドもモデルも増えています。
初心者の方には膨大な種類から選択するのは大変かと思いますが、そういう方は、好きなアーティストが使ってるエフェクターなどを購入してみるのもいいと思います。

正直、同じエフェクターでもギターやアンプの組み合わせなどでサウンドが変わります。
実際に試してみないとわからないということもあるので、失敗したくないという方は楽器店で試してみることをオススメします。

ひとまず色んなサウンドを使いたいという方はマルチエフェクターから購入してもいいですし、自分の好きなサウンドが決まっているという方はコンパクトエフェクターから購入されてもいいと思います。